衣谷の日記

フランス在住働くシングルマザー

もう二度とお父さんのところに戻りたくない

 カッサンドラは、先週の金曜日、もう二度と父親のところに帰らない決意で私の家に来た。それがかなうと思っていたらしい。父親のところにあった全財産の数百円、鍵のかかる日記帳、私が書いた小さなメモのような手紙の束、マスコット人形たち、お気に入りのブラウスを、こっそり自分の荷物に入れて持って来た。

 オリオルが、「カッサンドラは本気だよ。」と私に言った。

 カッサンドラが父親のところに数百円しか持っていないのは、父親が、「ちょっと借りる」ために、子どもたちの貯金箱から小銭を取るからだ。返してと言っても、借りていないととぼけたり、小銭がないと言い訳したりして返さない。卑しい父親。