私が自室から出ると、オリオルがもう起きていて、シャワーから出てきた。
「おはよう」と私。
「おはよう!昨日のお母さんのサブウェイのサンドイッチ、まだのこってる?」
「うん、残ってるよ。ここ。」
「俺、もらっていい?」
「いいよ。」
「やったー!!」
「あ、でもお母さんの選んだ組み合わせ、イマイチだったよ。あんたのほどおいしくないかも。」
「うん。」食べ始めて、「いやーこのライトマヨ、すっごい美味しい。どうやって作るのかなぁ。」常にポジティブ。
そこで私と、マヨネーズライト談義。私はキッチンへ。そこで、昨日1日の洗い物がされずに残っていて、使ったフライパンが2つと鍋が一つ、作業台を占めていて、何もできないのを発見。昨日は遅くなって、夕飯をサブウェイにして、そのまま寝てしまった。
私が皿洗いを始めると、もう食べ終わったオリオルがお皿を持ってきた。私のストレスフルな気配を察知してか、
「ああ、俺、今日3時に終わるから、皿洗いやっとくよ。」という。
「ありがと。でも少しはやらないと、お弁当箱も出せないから。」
「じゃあ、一番めんどくさいやつは置いていっていいよ。」卵の焦げ付いたフライパンをチラと見る。
「ありがとう、オリオル」
オリオルはいい子だ。ADHDなので、帰ってみたら皿はあらわれてなくて、本人は外へ遊びに行っているということもあるが、いやその気持ちが嬉しい。その気持ちさえもらえれば、母は皿くらい洗うのよ。しかも、そんなふうに忘れると、「ごめん、今やるよ。」と言ってくれる。
今朝は1時間後に授業が始まるんだったカッサンドラは、私が朝ご飯作りと皿洗いを並行してやっている最中に起きてきた。キッチンの私の真後ろに立って、「ねえ」と言う。
カッサンドラは足音を立てないので、いつも「わあ!」とこっちはびっくりする。私は、「おはよう」と言う。それには答えず、
「私の青いTシャツがない。」と言う。
「どの青いTシャツ?」
「買ったやつ」
「いつ?」
「一番最近。三回くらい着たら、その後もうない。」
「どんな青?」私は明らかにどんなTシャツのことを言っているのか思い出せない様子をしているはずなんだけど、カッサンドラは自発的に説明しない。たぶん分からないって分からない。
「濃い」
「どのくらい濃いの?」
「その牛乳のパックより濃い」
「どこで買った?」
「HM」
「どんなんだろう、全然思い出せない。ゆったりしてる?ピッタリしてる?」
「ピッタリ」
「半袖?長袖?」
「長袖」
いや、どんなTシャツかは想像できた。そんなの買ったっけ。
「最後に着たのはいつ?」
「ずーっと前」
「買ったのは?」
「知らん。一番最後に買い物行ったとき」じゃあそんな前じゃないんだが…
「それでカッサンドラは、誰か違う人の引き出しに入ってると思うの?オリオルのところとか?」
「お母さんのところ」
それをずーっと突っ立ったまま、微動だにせず、仏頂面で言うので、怒られているような、批判されているような気になる。
しかも私は朝の忙しい時間で、味噌汁を煮立てて、今まさに味噌を溶くところ。
「カッサンドラ、今母は忙しいから、あとでいい?」
「今日着たい」
私はため息をつき、考えを巡らす。私のパジャマのTシャツに似ていそうだ。私は、私のパジャマの引き出しを見に行くくらいの時間はあると判断し、火を止めて見に行った。一瞬で見つかった。カッサンドラに渡しながら、こういった。
「カッサンドラは母を批判しているのだったら、もっと手伝ってほしい。そうじゃないなら、もう少しいい方に気をつけて。」
「批判じゃない。」と一瞬あってから、「ありがとう」
今朝のカッサンドラとの会話は、これと、何かもう一つ、彼女に頼まれて出してあげただけだった。
そして、バイと言って学校へ行った。
オリオルは元気に、行ってきます!と言う。カッサンドラのバイは、うつむいて、こちらも見ず、まるで気づかれったくないみたいだ。
後で気付いたがたぶんカッサンドラは今日、心配していた英語の劇の発表があるんだ。