衣谷の日記

フランス在住働くシングルマザー

子どもたちが精神科医を受診した

 主治医の薦めた隣町の精神科医と話した。受診の目的は、カッサンドラの拒食症のような症状についてだが、結局は、話は父親のことになった。

 カッサンドラは、前回主治医に話したことと、ほぼ同じことをくり返すことになった。 「暴力はふるわないけど、時々オリオルに、『そんな態度を続けると叩くぞ』と脅すことはある。とても怖い。」というような少し具体的な話もした。

 今回はオリオルも、話した。

 精神科医は、オリオルの話は大して聞かず、私と多く話した。ただ、オリオルも父親を怖がっていることや、父親が一方的で支配的な態度を取ることは確認した。

 

 私が聞かれたのは、父親と私それぞれの、年齢、職業、性格、家族構成、父親の両親について、私の子ども時代だった。

 私は、自分を「静かな性格」と言い、父親を「どちらかと言うと活動的・情熱的に見え、一見とても外向的」と言った。医者は重ねて、「衝動的?」と聞いたので、「はい、全くその通り。衝動的です。」と答えた。医者はオリオルに、「パパは優しい人?」と聞いた。オリオルは首をひねって考えてから、「場合によります。」と答えた。

 私は、自分の子ども時代を、中間子で、子どものころ親からあまり相手にされていないと感じていた、と言った。「元夫からも、同じような印象を受けましたか?」と聞かれた。考えたこともなかったし、そういうわけでもないような気がするので、分からない、と答えた。今思えば、大事にされているようなジェストはしょっちゅうあったけど、本当に敬意を持って扱われたことはなかったと思う。ただそれは、親から受けた「存在感のない私」という印象とは、やっぱり違うようだ。

 元夫の家族構成については、かなり年上のお姉さんが二人いる末っ子で、母親は支配的・専制的で、父親は影の薄い人、母親から溺愛されて育ったと答えた。

 

 それだけでかなり典型的な人格と夫婦関係が予想できるようで、「あなたの元夫のような、そういう家庭環境で育った人というのは、人格に問題が出ることが多いです。」と言った。それから、そうであるなら、父親に会うしかカッサンドラの拒食症を治す糸口はない、と言った。要するに、カッサンドラは、「みなし患者」だ。そんなことは、私は分かっているんだけど・・・

 「父親に、私の診療所が開いたら、会いに来るように話してもらえませんか?」と医者は言った。

 「それは分かるんですけど、でも、それを話すと、子どもたちが父親の反応をとても怖がるんです。父親に、自分たちがお医者さんに会ったと知られて、何を話したんだとしつこく聞かれるのが怖いんですよ。どうしたらいいか、よく分からないんです。子供たちが父親といっしょにいるとき、私は子どもたちを守ることが出来ないんですから。」

 精神科医は、「お父さんとこの話をするのはいやだ」と言うオリオルに、

 「でも、具合が悪いのはお父さんなんだ。だから、お父さんを治療しなくてはならないんだよ。」と言った。

 

 そして私は、3日前、元夫に、この精神科医に会いに行くようにメールを出した。