衣谷の日記

フランス在住働くシングルマザー

子どもたちがパパ宅に帰った後

 子どもたちがパパ宅に帰った後は、いつも何もする気にならない。気が抜ける。お母さんから「ただの私」に戻るのに、ちょっと時間がかかる。

 子どもたちがいなくなるのは寂しいんだと思うけど、私はこの瞬間を心待ちにもしている。母親の役割をぴっちり一週間果たしたら、毎回燃え尽きそうになる。

 

 私は一人、子どもたちの散らかして行った3LKでぼんやりする。カッサンドラが今週最後のお手伝いバイトで、掃除機をかけてくれた私のお気に入りのカーペット、赤くて小さなりんごがいっぱいに並んだ果物のお盆、半分だけ収穫して切り取られた貝割れ大根の生えているプラスチックトレイ、オリオルが、私がお天気の日に寝そべって本を読めるようにと日当たりのいい自分の部屋に作ってくれたテント、それぞれのものが、喜びと努力と心労の忙しい一週間の余韻を残している。

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 フランスのコロナ感染予防のための外出禁止は、4週間を過ぎた。子どもたちのいる週は、子どもたちの就学前を連想させるような、家事と子育ての毎日。そして子どもたちのいない週は、大人になってから初めての何もない時間。だから、いつもやりたいと思っていてやれないでいることを、生活に組み込む。

 コロナ後によい影響のあることを。たとえば、いろんなものの整理。写真、服、アーカイブしてある書類、キッチンや薬箱。これから先も、ずっと気持ちよく暮らせるように。それから、バーレッスンやピアノ、そして、最近船便で届いた数冊の本を読むこと。小さな子どものいるお母さんたちの多くがそうであるように、子どもたちが生まれて10年、自分というものを一時棚上げしてきたけれど、少しずつ、私の好きなこと、楽しいことを自分に返してあげることができるようになった矢先の、この休み。

 

 2017年の別居開始から今まで、急展開したこの3年間を、落ち着いて考える機会でもある。

 

 この外出禁止期間、仕事をしないで暮らしている私たちの生活を保っていくために働いている、スーパーや、食料品生産者や流通に携わる人たち、医療関係の人々に、私が自分の生活を見直す貴重な機会を与られていることを、感謝したい。