衣谷の日記

フランス在住働くシングルマザー

運動嫌いだけど体力つけたい 30代後半に始めたこと

 昔から運動はあまり好きではない。体育は得意ではなかったし、運動神経もごく並なうえに、活動的に動くのがあまり好きではない。

 そんなだから、特に部活やクラブで本気でスポーツしたこともないし、大人になってからはまるで何もやらなかった。時々、「体を動かさなくては」という強迫観念から、たま~にプールに行ってみたり、自転車出勤を試みたりすることはあったけど、プールの10回券は半分も使わないうちに使用期限が切れてしまうし、新しい自転車も気が付くとしばらく乗っていなくてタイヤの空気が抜けている。

 あるときはジョギングをしてみようと、これまでの人生で、一度だけ走ってみたこともあるが、三日坊主でさえなく、ある朝一回走っただけでやめた。

 

 ただ、30代の後半から、かなり本気で不健康さが気になり始めた。

 肩こりがひどく、不眠がちで、体重も増えた。自重を支えるだけの腕立て伏せのポーズや、逆立ちがかなり厳しくなり、階段を一段とばしでがんがん上がるというようなことがやりにくくなった。

 それって生物としてまずくないか?と、体力キープのためになにかしなくては、と思い始めた。

 

 でもそのころの私は、パリの有名事務所で長時間労働していて、もちろん仕事にやりがいはあったのだけど、いつもひどく疲れていた。36歳で始めた、ホルモンを人工的に操作する不妊治療のせいもあったと思う。たまに週末プールへ行ってちょっとがんばって泳ぐと、その日はもう昼寝を2時間くらいしないと回復しない。

 もしかすると、ちょっと欝っぽかったかもしれない。どう考えても、ハードな運動は無理そうだったし、普通の運動さえ無理そうだ。

 一人では続けられないから、なにかのクラブに入りたいと思った。ともかくゆるい種目をと、近所のヨガ教室と太極拳のクラブを見学し、ヨガはかなり精神的にはまっている感じの雰囲気が胡散臭く感じて、太極拳にした。

 太極拳も胡散臭いのは胡散臭かったのだけど、文化的に違和感がないから許容範囲。時間割の問題で太極拳のクラスではなく、気功のクラスをとった。さらに体力的には易しい。

 

 実はここの「学院」の院長は、中国の大学で東洋医学の博士を採った中国人「医師」で(たぶんこちらでの医師免許はない)で、幼児のころから気功をやっているというかなり本物の人だった。

 歩いて15分ほどのところにあったその学院に、確か3年くらい通い続けたのだが、その先生の気功は、当時弱りきっていた私の体におそろしく効果があった。値段はけっこうしたと思うが、当時子どものないダブルインカム家庭で、具体的で直近の貯金目的もなかったから、目をつぶってえいやっと払ってしまっていた。高価な集中講義なんかも採った。

 でもそのおかげで、筋力や運動能力向上にはほど遠かったけど、そのスタート地点に近づくことが出来たように思う。体を運動できる状態にする準備だったと思うから、これに関しては後悔していない。

 気功をしていると気持ちがよいとか、した日はよく眠れるとかいうことだけでなく、もっと明らかな効果があった。それは、風邪を引かなくなったことだった。フランスに移住して以来、日本にはないウィルスがいるのか、ともかくいつも風邪を引いたり、月経前症候群もひどかったから、私はしょっちゅうかかり付けの医者のところへ行っていた。月に一度は行っていたんじゃないかと思う。

 それが、あるとき気づいたら一年くらい行っていなくて、検査かなにかで予約したら、お医者さんに、「あら、あなた急に来なくなったから、引っ越したんだと思って、あなたのカルテはアーカイブしてしまったわ。」と言われた。それくらい、はっきりとした変化があった。

 

 でも、気功は双子の妊娠出産でやめてしまった。再開できればしたのではないかと思うけど、双子の赤ちゃんのいる生活は、一瞬でも時間があれば、気功より睡眠!というくらい忙しかったから、二人が十分大きくなって、私がなにかできるようになるころには郊外に引っ越していて、あのあやしい中国人の気功の大家のところへ通うことはできなくなった。それでも、時々いつかは夏の研修などやってみたいと思った。今でもちょっと思うかな。でも私が子育てで働けなくなり、家の経済状態もまるで変わってしまったから、研修は非常に高額に思えるようになった。

 郊外にも、気功や太極拳の教室はあるのだけど、あの本家本元に習った後では、なんだかフランス人の先生に習う気にならない。

 

 ということで、私はなにか別の、加齢に逆らう体力回復・維持の方法を探さなくてはならなくなった。